春を迎えて、身も心も踊り始める季節になりました。この時季の花と言えば、桜。街や公園が一斉にピンクの花びらに彩られる様は毎年観てても飽きないものです。
でも、ただ桜の名所をめぐるだけじゃあもったいないですね。街にはいろいろなお店や見どころがまだまだたくさんあります。あのヒット曲で有名な「桜坂」は、東急多摩川線沼部駅が最寄駅。沼部から隣の多摩川駅はひと駅ですが、桜坂を経由して途中にあるお店に寄りながら、ゆっくり歩いてみてください。花が散っても楽しめるスポットがいっぱいです。
赤い線で途中に三角の矢印が入っている線が散策のモデルルートです。
まず、沼部駅を降りて、多摩川河川敷の反対側に行けば桜坂はすぐそこ。場所はすぐわかるはず。車道横の歩道を登っていきましょう。それなりの勾配がありますからゆっくり歩いてください。
坂名は坂道の両側に大正時代に植えられた桜にちなむものです。
この坂は旧中原街道の切通しで、昔は「沼部の大坂」といい、勾配がきつく荷車などの通行は大変だったようです。また、かつてこのあたりの村落(沼部の村落)は荷車、旅商人の往来でにぎわい、腰掛け茶屋などが坂道の両側にあったともいわれています。
現在は地元の皆さんが、ライトアップとまではいきませんが、投光器で夜も見物ができるよう配慮してくれています。
桜坂を登った先の信号を左に曲がると中原街道へと続く道。その道は商店街の田園調布通り商店街。カーニバルマーケット風の店頭でひときわ目を引くのが「アヤパン」です。元気で気さくなオーナーのアヤさんが作ったパンで腹ごしらえです。
その並びに素朴な佇まいの「焼肉レストラン 田園」の看板を発見。ランチしたいと思うけど、残念ながら営業は午後5時から。地元で長年愛される焼肉の味は帰りか、また別の機会にぜひ。
そこから中原街道を渡り、一つ目の信号のある交差点で「田園調布富士見会館」の方向を示す看板が見えたらその角を左に曲がります。やがて「富士見坂」にたどり着き、下り始めのところに「田園調布富士見会館」があります。公共施設ですから、トイレを借りたり、ちょっとひと休み。富士見坂を下ると多摩川駅前に出ますが、ここは少し回り道して「田園調布せせらぎ公園」沿いに「どりこの坂」へ。坂名の由来は昭和の初めごろ、坂付近に「どりこの」という清涼飲料水を開発した医学博士が屋敷を構えたので、誰いうとなく「どりこの坂」と呼ぶようになったといわれています。それまでは、池山の坂と呼ばれていたそうです。坂を下ると田園調布教会前に出ますから、多摩川線を左に見て駅へと向かいます。
道の右側の坂上にある多摩川台公園も、春は桜、そして花菖蒲、梅雨のころには紫陽花が楽しめる自然豊かな公園です。そして駅前に出て、河川敷方面に行くと商店街の「多摩川園商栄会」に着きます。歩いていると、うまくタイミングが合えば、店頭で名物の「鮎焼き」を焼いている様子を見ることができます。お店は「大黒堂」です。
大黒堂さんから踏切を渡って、中原街道の下を抜けます。このトンネルは大田区で一番古いものと言われています。トンネル内にあるマンホールは中央に「東」の字がデザインされています。これは戦前、東京市だったころに作られたものだそうです。
トンネルを抜けるとそこは、旧六郷用水の水路を復活させ桜が植えられた遊歩道に出ます。散策しながら桜を楽しむことができるスポットです。
そして沼部駅に戻ったところで、沼部商店会のお店めぐりへ。イタリア料理店、和食店、惣菜も美味しい魚屋さん、おしゃれな雑貨屋さんなど、駅も街も少し控えめの印象ですが、それぞれに個性を発揮するお店を楽しんでください。
沼部駅近くには旧六郷用水沿い洗い場跡の湧水があります。多摩川沿いに復元整備された旧六郷用水沿いにある、洗い場跡地の湧水です。かつての面影を残して整備された洗い場跡の湧水槽はたえず澄んだ水をたたえて、コイがたくさん泳いでいます。
商店街名 | 沼部商店会 田園調布通り商店街 多摩川園商栄会 |
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最寄り駅 | 多摩川駅(東急多摩川線、他)、沼部駅(東急多摩川線) |
住所 | 東京都大田区田園調布本町28−1 |