●この事業を企画したリーダー
1.梅屋敷東通り商店街振興組合
ラーメンまんま屋(ラーメン店)/木下 永一さん
2.雑色商店街振興組合
創作和食 零(居酒屋)/大窪 直樹さん
●「こいこい猪鹿調プロジェクト」はどんな事業ですか?
木下:
「獣害の周知、ジビエを通した食育」を目的とした講習会を、商店街店舗と一般のお客さま向けに開催しました。
また、商店街の一部店舗でイベント限定のジビエ料理を食べられるスタンプラリーを実施し、地域の消費者にも啓発活動を行いました。
大窪:
イベントに参加する各店舗でジビエ料理を提供することになりましたが、企画の時点でジビエ肉を取り扱っている店舗はほとんどありませんでした。
ジビエ肉の仕入れ先や下処理の仕方など、知識を得る機会もなかなかありません。私もジビエ肉を取り扱うのは初めてでしたが、知識を得る良いきっかけになりました。
●この事業を企画した理由を教えてください
木下:
社会問題として害獣による農作物の被害などが多くあり、現状では駆除された個体を食用として活用できていないフードロスという課題があります。
このテーマは個人的に取り上げたい問題として私の中にずっとありました。
フードロスを解決するには、一般へのジビエ肉の消費量を増やし、また肉の供給先店舗を増やすことで未使用個体を食用として確保するメリットを猟師・駆除業者に理解していただき、ジビエ肉として使用できる個体を増やすことを目指す必要があります。
獣害問題はSDGsとも深い関わりがあります。一般の注目度も高まっているので、取り組むには良いタイミングだったと思います。
●講習会やスタンプラリーに参加した方の反応はいかがでしたか?
木下:
講習会にはジビエに興味がある飲食店だけでなく、食育や獣害に関心のある一般の方にも多く参加してくださいました。
ジビエの知識だけでなく、剥製を直に見て触って大きさや生態を知ってもらったりすることで、「体験」を通して理解を深めていただきました。
また、スタンプラリーの実施店舗ではツノを展示し獣害の背景やストーリーを伝えることで、その価値を知っていただき、ただ食べるだけではない「体験」を提供できたのではないかと思います。
私自身も改めて、ジビエ肉に限らず豚や牛も含めて「いのちをいただく」ということを強く感じることができました。
知ってもらう、ということが今回の一番の目標であり目的です。身近に感じてもらえたのではないでしょうか。
●事業を通して実感できた効果はありましたか?
木下:
まだジビエ肉自体の価格が高く、流通させるには超えなければいけないハードルがたくさんありますが、今回の事業を通じて、仕入れルートをひとつ確立できたことは大きいですね。
裾野が広い分野ですから今回のことは本当にきっかけのひとつですが、大きな第一歩を踏み出せたと思っています。次へのつながりも感じました。時間がかかると思いますが、みなさんが考える一助になればと思っています。
事業が終わった後も、こうした情報の発信基地になれたらと考えています。
大窪:
ジビエメニューを開発するに当たって、専門の方から指導をもらったり調理についての質問をすることができました。
メニュー開発について参加店舗で協力し合ったりすることで、横のつながりも広がりました。
●企画を進めていく中で苦労した点などはありますか?
木下:
今回のイベントで初めてデジタルスタンプラリーに挑戦しました。
どうしても商店街はデジタルには弱いので、消費者や店舗のITリテラシー向上を目的とし、デジタルツールを活用したいと考えましたが、まだまだ活かしきれない部分もありました。
様々な課題も見えたので、この一回限りではなく次へと活かしたいと思っています。
●次世代リーダーをやってみたい!という方へのメッセージをお願いします
木下:
僕ら個人商店は往々にして井の中の蛙になってしまうことがあります。自分だけの価値観ではなく横のつながりを持つことで勉強になりますし、自分の店のモチベーションにもつながりますよ。
大窪:
こうした事業に参加することで同業以外の方とのつながりが確実にできます。僕が次世代リーダーに関わるようになったのはコロナ後ですが、自分の事業にもプラスになることは間違いないですね。
※
害獣…人間や家畜を襲ったり農作物を荒らすなどして、害を加える獣のこと。
獣害…害獣による被害のことを指す。
●この事業について
○事業名:こいこい!猪鹿調プロジェクト
○ジビエ講習会:2022年1月16日/大田区産業プラザPiO会議室
○スタンプラリー:2022年1月16日~2022年1月29日開催/参加店舗…ラーメンまんま屋(ラーメン店)/創作和食 零(居酒屋)/MIMOSA&DELI(ビストロ)/ワインショップうめや(ワイン専門店)/はなれの梅林(居酒屋)