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おーたふる 大田区商店街ナビ|国際都市大田区の魅力的な商店街

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特集 / Feature

大田区のさまざまな魅力を発信

2022.05.06

大田区の若手経営者たちの取組・舞台裏のSTORY#03

大田区の次世代リーダー育成塾は、区内商店街の持続的な発展のため、意欲的・活動的な若手商業者に対して以下の2つの体験を提供するためのプラットフォームです。
◎意欲的、活動的な若手商業者同士が、地域を越えた良質なネットワークを形成する機会を提供する。
◎業種業態の違う複数の店舗が共同企画する事業の実施により、商店街イベントやキャンペーンの疑似体験の場を提供する。

商店街をコラボレーションで盛り上げる
〜コラボのマッチングプラットフォーム作り


「商店街のお店とお店とのコラボレーションはたくさんのメリットがあるんです。そんなコラボを生み出すための、マッチングプラットフォーム作りにグループで取り組みました」。そう語るのは、2021年度「次世代リーダー育成塾」リーダーの石塚将武さん。さまざまな「新しい社会の仕組み作り」に挑戦する石塚さんに、舞台裏のSTORYを取材した。

石塚将武さん  
・2021年度「次世代リーダー育成塾」グループリーダー
・「東京蔵屋敷.com」代表

グループメンバー
・「東京蔵屋敷.com」(物販)
・東京羽田ヴィッキーズ(サービス)            
・株式会社川島屋(物販)
・サステナブリッジ合同会社(サービス)      
・ワインショップうめや(物販)        

取材日:2022年2月25日 取材・記事:MY STORYライター 武藤花奈

地域のお店×お店のコラボレーショ
マッチングプラットフォーム作り

■次世代リーダー育成塾の「コラボで商店街をもっと元気に!」プロジェクトについて教えてください。
大田区の商店街をコラボレーション(以下、コラボ)で元気にしたい。地域に住むひとにとって魅力的な商店街にしたい。そんなコンセプトを掲げ、「商店同士のコラボプラットフォーム作り」の実証実験に取り組みました。
コラボに興味があるお店をデータベース化した上でマッチングする方法をグループで考え、実際に大田区の商店街をマッチングし、コラボイベントを実施しました。
具体的には、まずコラボに関心があるお店の募集からスタート。大田区全域の商店街を対象に、大田区商店街連合会の公式LINE登録店にLINEで募集をかけたところ、18店舗の応募がありました。運営サイドで各店舗のプロフィールを作って応募者に公開し、アンケートをもとに事務局でマッチングする、という流れをとりました。「どのお店とコラボしたいですか?第3希望まで教えてください」、「お店の経営課題は?」、「コラボで得たい成果は?」などの質問項目への回答から、6店舗で3つのコラボのマッチングが成立し、次世代リーダー塾の補助金を活用してイベントを実施しました。その後も4店舗で2つのコラボイベントが、独自に実施されました。
今回の実証実験の結果、コラボは需要があること、またコラボイベント実施後のアンケート結果によると「コラボの副産物は仲間づくりだった」とわかりました。

実際にはどのようなコラボが生まれたのでしょうか?
ワインショップうめや(蒲田)とお好み焼き肉玉本店(西蒲田)のコラボで「産直食材と自然派ワインのプチマルシェ」。est Panis(エストパニス、田園調布)とCentral 8 Garage(セントラルエイトガレージ、池上)のコラボで「昭和のホットドッグとリンゴ酵母のあんバター」のセット販売。tk-kota(田園調布)と当店・東京蔵屋敷.com(久が原)のコラボで「自律神経のバランスを整えるコロン作り体験」を実施し、各コラボイベントにグループメンバーが担当につき、運営をサポートしました。

■大変ユニークなプロジェクトですね。このプロジェクトを企画した意図について教えてください
もともと自分のお店では、近隣の店舗とよくコラボしており、コラボは非常にたくさんのメリットがあることを知っていました。既存のお客さまが目新しい企画として喜んでくださったり、店舗間でお客さまを共有することで新規顧客獲得につながったりします。 そんなコラボをたくさん生み出す仕組みがあれば、お客さまに喜んでいただけるし、お店も繁盛するはず。商店街も賑やかになり、商店街がより魅力的になっていくのではないかと考えました。そんな提案をメンバーにしたところ、それに近いアイデアを持っていたメンバーが多く、プロジェクトとして動き出しました。

■4ヶ月という短期間でコラボのプラットフォームの仕組みを作り、コラボイベントを5つも開催するとは、素晴らしいスピード感ですね
メンバーのご尽力の賜物ですね。それぞれ自分の商売に忙しく、オンラインミーティングの時間も充分に確保できない中、短期間でここまでカタチにできたことは達成感があります。メンバーは様々なプロジェクトに関わった経験が豊富な方が揃っていたので、常に時間に追われながらも、短期間でコラボイベント実施・検証というゴールまで辿り着けたように思います。スケジュールや進捗状況、課題はLINEのグループで随時共有し、また直接会える時は意識的にコミュニケーションをとってきました。

今回のプロジェクトを通して学んだことは?
グループでプロジェクトに取り組む価値やメリットを実感しました。マッチングのためのアンケート作りがその例でした。マッチングの満足度を効率的に高める上で、アンケート内容の精査は重要です。
「せっかくコラボするのであれば、経営課題が同じ店とコラボしたい」、「コラボで得たい成果は、事前に明確にして擦り合わせたい」など、それぞれ店主としての意見を出し合って作成したことで、内容がブラッシュアップしました。多様な視点を織り込むことで、内容のクオリティが上がること、1人で進める事業なら見落としていたようなプロジェクトの穴を、メンバー全員でカバーできることを目の当たりにしました。

今回のプロジェクトの今後はどうお考えでしょうか?
仲間を募り、今後も何かのカタチで続ける予定です。コラボは1店舗で解決できない課題を複数店舗で解決する力があり、それは商店街の魅力と同じです。課題を一つひとつ解決しながら、プロジェクトを推進していきたいです。
今回の実証実験で、今後につなげる仕掛けを取り入れました。コラボイベントの公式LINEを用意し、今回実施した5つのコラボイベントで40人のお客さまに登録してもらったことです。LINEで次回のコラボイベントのご案内をする予定で、この40人をはじめ、お客さまに楽しんでいただくことを考えていけば、継続的に良いコラボが生み出せると思います。
コラボの参加店が増えればお客さまが増える、お客さまが増えれば参加店が増える。誰もがWin-Winの良いサイクルを作り、地域を盛り上げていきたいです。

個人で取り組む美味しくて健康的な食べ物の「新しい流通」の仕組み作り

■石塚さんは、個人の事業でも「仕組み作り」に取り組んでおられます。食料品店「東京蔵屋敷.com」について教えてください
美味しくて、健康的な食事を毎日食べたい。そんな想いに寄り添う「新しい流通」を作るべく、食料品店「東京蔵屋敷.com」を営んでいます。 地方には美味しい食材がたくさんありますが、生産地周辺以外で流通していないものも数多くあるんです。僕は日本各地を旅して、自分が本当に美味しいと思える食材を探し、「東京蔵屋敷.com」を通じてお客さまに届けています。ご縁あって、2021年には久が原駅の近くに実店舗を出店しました。

「東京蔵屋敷.com」が誕生した背景をお聞かせください
僕は島根県隠岐島で生まれました。隠岐島は自然に恵まれた土地で、新鮮で美味しい食べ物に囲まれて育ちました。島を出て本土の高校に通い、大学進学を機に上京しましたが、上京後、近所のスーパーマーケットやコンビニで食べ物を買おうとしても、お腹が空いているにも関わらず食べたいものが見つからない、なんてことがよくありました。
その後転職を経て、地元・島根県海士町の観光協会に入社し、「離島キッチン」というプロジェクトに携わりました。全国の離島の食材を仕入れ、東京で行商するプロジェクトです。初めはキッチンカー1台でスタートしましたが、百貨店などでの催事販売を経て、神楽坂でレストラン兼アンテナショップをオープンしました。
僕は仕入れとメニュー開発を担当していたため、様々な離島を回る機会がありました。
その中で感じたのは、離島をはじめ、全国には美味しいものが沢山あること。そして美味しさにも関わらず、売り手にとって価格や安定供給、魅力の分かりやすさなどの事情から仕入れが難しく、全国に流通していない食材が多いという現実でした。これは社会の課題だと感じ、次第に、そんな食材を集めた新しい流通を作りたいという想いを募らせるようになりました。 出荷先が明確になっていれば生産者は美味しいものを継続的に生産でき、消費者は美味しいものを食べられるはず。新しい流通の実現に向けて2015年に独立し、2016年にオンライン食料品店「東京蔵屋敷.com」をスタートしました。

■事業で大切にしていることを教えてください
当店が販売した食品を、お客さまに「美味しく食べ切っていただくこと」です。これは案外難しいこと。物珍しさで買っても使い切れず、気づいたら賞味期限が切れて捨てた、なんて経験はありませんか?僕はこれを売る側の努力不足だと捉えています。「東京蔵屋敷.com」では、食品の歴史や文化的な背景、美味しい食べ方、保存方法などを丁寧に説明しながら販売しています。公式LINEを通してお客さまとコミュニケーションをとっており、購入後も「食品の食べ方がわからない」などのお声があれば、YouTubeに食べ方説明の動画をアップするなどの方法でフォローすることもあります。
美味しく食べ切っていただけるかどうかは、長期的にみると売り上げにも直結します。食べ切れなかった商品は二度と買ってもらえません。一方で、美味しく食べ切った商品はリピーターになっていただけます。
美味しくて、健康的な食事をきちんと食卓に届けられるように、丁寧に「新しい流通」を築いていきたいです。

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