Loading...

おーたふる 大田区商店街ナビ|国際都市大田区の魅力的な商店街

おーたふる 大田区商店街ナビ|国際都市大田区の魅力的な商店街OTAFURU

特集 / Feature

大田区のさまざまな魅力を発信

2022.05.02

大田区の若手経営者たちの取組・舞台裏のSTORY#02

大田区の次世代リーダー育成塾は、区内商店街の持続的な発展のため、意欲的・活動的な若手商業者に対して以下の2つの体験を提供するためのプラットフォームです。
◎意欲的、活動的な若手商業者同士が、地域を越えた良質なネットワークを形成する機会を提供する。
◎業種業態の違う複数の店舗が共同企画する事業の実施により、商店街イベントやキャンペーンの疑似体験の場を提供する。

「商店街の多様性・共存」の扉を開く

「未来の商店街のキーワードは、多様性と共存。親子向けイベントを開催することでそのきっかけ作りを目指しました」。そう語るのは、2021年度「次世代リーダー育成塾」のリーダーで、大田区でアトリエを運営する南部和則さん。時代の先を見据えて、愛情深く地域社会と向き合う南部さんに、グループで手がけた「親子で作ろう エコバッグワークショップ」舞台裏のSTORYを取材した。

南部和則さん  
・2021年度「次世代リーダー育成塾」グループリーダー
・特定非営利法人子どもアート支援活動まほろば  代表理事
・合同会社ミナミブラシ デザイナー

グループメンバー
・合同会社ミナミブラシ(サービス)
・クールクレープ(飲食)
・整骨院海(サービス)
・SCOTCH BAR SWANK(飲食)
・たいよう食堂(飲食)       

取材日:2022年2月23日 取材・記事:MY STORYライター 武藤花奈

親子向けイベント開催で
多世代コミュニケーションのきっかけを

■次世代リーダー育成塾で実施した
「親子で作ろう エコバッグワークショップ」の内容について教えてください。
2022年2月、大田区の4つの商店街(糀谷・羽田・大森エリア)との共同企画で、干支のトラを描いたトートバッグに色を塗って装飾する親子向けのワークショップを開催しました。大森会場と私のアトリエを羽田会場として2会場で実施し、それぞれ親子30組を募集しました。
外部からプロの色彩士とデザイナーを招き、色彩士に着色のアドバイスを、デザイナーには装飾のアドバイスをしてもらいました。自分はデザイナーということもあり、せっかくならクオリティが高いものを持ち帰っていただきたく、プロが制作したものを見本として展示しました。

多くの親子連れの笑顔を見ることができ、日常で経験できないような体験を提供できたと思います。スタッフが参加者に積極的に歩み寄り、交流する姿が見られたことも嬉しかったですね。参加者の皆さんが自分で作ったオリジナルバッグを持って、親子で商店街へお買い物に行ってくれたら大変嬉しく思います。

とっても楽しそうな親子向けイベントですね
このイベントを企画した意図について聞かせてください
大田区商店街連合会が提示する課題「未来の商店街の在り方」と「エリアを超えた商店街の連携」について、私たちグループは「子どもや親子連れが楽しめる場を提供することは、商店街が担うべき役割のひとつではないか」と考え、このワークショップを企画しました。
羽田エリアは御神輿などのイベントが多いのですが、「大人による大人のためのイベント」ばかりで、子どもや親子が主体として楽しめるものが少ないんです。ここに、商店街の課題と、課題解消のヒントがあるのでは、と考えました。
「大人軸」を脱して、「子どもや子育て世帯との共存」に軸をうつすことで、次世代のお客さまの獲得につながります。親子向けのイベントを実施することで、商店街と子育て世帯との距離がグッと近くなるはずだ、と。
私は大森会場はあまり人脈がない状態でしたが、大田区商店街連合会やグループのメンバーのご尽力で、地域の商業施設やまちづくり事業者が大森会場のセッティングやチラシ配布などに協力してくださいました。新しいネットワークができたことが嬉しかったです。メンバーそれぞれにとって、今後の活動にもつながっていくかと思います。

商店街が「子どもや親子連れと共存」することは、「未来との共存」にも通じますね
その通りです。商店街にとって「共存」は重要なキーワードだと思います。
地域と地域、店と店、店と地域住民。商店街の店と店が「一緒に頑張ろう、一緒にお客さまを呼び込もう」と手を取り合い、地域社会、特に子どもや子育て世帯に密着した商売をすることで、商店街に新たな活路が生まれるのではないでしょうか。
例えば、1つの商店街に同じ業種のお店が2軒同時にオープンした時。互いをライバルとするのではなく、2軒で協力して一緒にお客さまを呼び込み、商店街を盛り上げた方がお客さまは楽しいし、楽しみながらお店に親しんでいただけます。ひいてはリピーター獲得や売上アップにもつながります。今回のイベントが、そういった価値観が広がるきっかけになったらいいなと思います。
商店街がショッピングモールと競合することに意味はありません。小さな店だからできる、フットワークの軽さなどの強みを活かして地域と共存できるようになったらいいなと感じます。そのためには、多世代コミュニケーションの機会を増やすことが大切です。商店街が連携して、若い世代と接する機会を増やすことで、「大人軸」になりがちな商店街の価値観は広がっていくはず。このワークショップにはそんな意図もありました。

次世代リーダー育成塾の活動を通して得た学びについて教えてください
「多様性とチームワーク」を意識する大切さを改めて実感しました。リーダー塾の参加者は全員自分の商売があり、業種が違えば営業時間もライフスタイルも人それぞれ。イベントの企画から実施まで4ヶ月という、限られた時間のなかでミーティング時間を調整し、方向性を擦り合わせ、企画を進行するのは時に難しさを感じることもありました。メンバーのサポートのおかげで、無事にイベントを実現できて本当によかったです。
「多様性とチームワーク」を意識する大切さを改めて実感しました。リーダー塾の参加者は全員自分の商売があり、業種が違えば営業時間もライフスタイルも人それぞれ。イベントの企画から実施まで4ヶ月という、限られた時間のなかでミーティング時間を調整し、方向性を擦り合わせ、企画を進行するのは時に難しさを感じることもありました。メンバーのサポートのおかげで、無事にイベントを実現できて本当によかったです。

スピード感ある行動力で社会をデザインする

■南部さんご自身の事業や活動内容についてもお聞かせください
大田区穴守稲荷でデザイン会社「ミナミブラシ」を経営しています。そのほか、特定非営利法人子どもアート支援活動まほろばを立ち上げ、アトリエを開いています。
必要だと感じるものをカタチにするのはデザイン事業だけではありません。「子育て」という分野も真剣に取り組み、自分が思うことをカタチにしてきました。2011年に第一子が産まれ、本気で子どもを育ててきました。幼児教育の大切さを実感し、もっと掘り下げて勉強する目的で保育士と幼稚園教諭の資格を取りました。 「子育て」と本気で向き合うなかで痛感したのは、世の中の母親たちが疲弊していること。母親の疲弊は、子どもの疲弊につながります。母親の居場所づくりになればと、2013年から2020年にかけて親子カフェを経営していました。コロナ禍が始まったタイミングで即断で閉めて方向転換し、今はアトリエを運営しています。子どもたちの学び場、遊び場、居場所の提供を目指しています。

保育士の資格まで取られたとは…。素晴らしい行動力ですね
そんな南部さんの人生の軌跡を教えてください
私は芸術大学卒業後、印刷会社勤務を経て、起業前は六本木ヒルズに本社を構えるベンチャー企業に約6年間勤めました。最先端のビジネス現場で刺激的な日々を送るなかで自信をつけ、徐々に「自分で仕事を探し、選び、自分が思うままの仕事をしたい」という気持ちが大きくなり、独立に至りました。
独立したのは、妻のサポートの影響も大きかったです。元広告カメラマンで、経済の安定以上に心の成長を大切にし、私のチャレンジをバックアップしてくれる彼女を見習うばかりです。

その行動力とスピード感は、どこにルーツがあるのでしょうか
ベンチャー企業時代の影響は大きいですね。大変刺激的で、人生の糧になりました。当時は六本木ヒルズができたばかりの時期で、時代の最先端が凝縮されたような特別な空間でした。同じビルに著名な経営者がいて、名だたる企業がそばにあって。「成功者」のロールモデルを目の当たりにしました。
プロジェクトの進め方とスピード感。技術的な向上はもちろんのこと、ディスカッションの質も大変よかったです。情報が早く、それをキャッチし、吸収しなくてはいけない緊張感など、時代の先を読む先見の明を鍛えられました。何より学びになったのはコミュニケーション、チームワークの大切さでした。相手の価値を認めないとプロジェクトが停滞することも学びました。

■次世代リーダー育成塾での経験をふまえ、今後の目標を教えてください
次世代を意識した社会づくりです。もっと次世代に軸を置く必要があるし、そのためには、若い世代とのコミュニケーションが必要だと改めて感じました。多世代にわたる新しい関係性を構築し、次の世代につなげられる社会を目指していきたいです。

ホットワード