田園調布駅を降りるとまず出迎えてくれるのは、街の「顔」として親しまれているフォトジェニックな旧駅舎です。
東京駅や原宿駅などとともに「関東の駅百選」にも選定された、中世ヨーロッパの民家がモデルの赤い屋根に思わずほっこり。西口駅前に設けられた噴水は、周囲にバラも植栽され優雅な気分を一層盛り立ててくれます。
駅を中心に放射状に伸びるイチョウの並木道はパリの凱旋門のエトワール式道路がモデルで、その佇まいはさながら映画のワンシーンのよう。左右に並ぶ瀟洒な邸宅と生垣が街の景観を作る一部となり、気品と風格が感じられます。
近隣には武蔵野台地の自然林の面影が残る宝来公園などもあり、エリア一帯に流れるゆったりとした空気感に改めて気づかされます。
美しい街並みに歴史あり
美しく整備された街の景観デザインの真髄は、放射状に伸びる街路にあり。俯瞰で見てみると、コンパスで描いたように美しい扇を描いているのがわかります。
大正時代に都市開発が施されたこの街は、もともと畑と雑木林が広がっていたエリア。緑豊かな理想の住宅地をめざしてゼロから構想が練られました。現在では当たり前に見られる「街路樹」も田園調布で初めて取り入れられたとされるもの。生垣を含む、邸宅と街の理想の関係のあり方も当初からルール化されており、美しい街並みはいわばその哲学が脈々と守られてきた結晶。田園調布が「日本一の邸宅街」といわれるゆえんはこうした背景にあるのです。
そんな誇り高き田園調布は、おのずとオーセンティックな銘店が集まる街。何代も続く老舗店に加え、美意識の高い地元の方も贔屓にする独自のこだわりが光る新興店も増えています。丁寧な時間が育まれる特別な場所だからこそ、ゆったり、心のおもむくままに−。あなたもぜひ、田園調布で上質な時間を過ごしませんか。